テンは、日本の森林や山間部だけでなく、人の住む地域にも出没するイタチ科の動物です。
見た目は可愛らしいですが、屋根裏や納屋に住み着き、糞尿による悪臭や建物の損傷を引き起こすことがあります。また、農作物や家禽を襲うこともあり、農家にとっても大きな問題になっています。
しかし、テンは鳥獣保護法で守られており、許可なく捕獲することはできません。そのため、効果的な駆除と予防策を知ることが重要です。
本記事では、テンがもたらす被害の具体例を紹介しながら、合法的かつ実践的な対策方法を解説します。
記事のポイント
● テンが家屋や農作物に与える被害の具体例を理解できる。
● 鳥獣保護法により、無許可でのテンの捕獲が禁止されていることを知る。
● 侵入を防ぐための効果的な予防策を学べる。<
● 被害が拡大した場合に自治体や専門業者へ相談する重要性を理解できる。
テン 動物とは?基本情報と生態
テンは、日本に生息するイタチ科の動物で、森や山だけでなく、人の住む地域にも姿を現します。
見た目は可愛らしいですが、夜行性で活発に動き回るため、家屋や農作物に影響を及ぼすことがあります。ここでは、テンの分類や生息地、特徴、生態について詳しく解説します。
テンの分類と特徴
テンは、学名を「Martes melampus」といい、英名では「Japanese marten」と呼ばれます。日本では「ホンドテン」や「ツシマテン」など、地域ごとに異なる亜種が存在します。
分布と体の特徴
テンは本州、四国、九州、対馬に広く分布しており、北海道では外来種と考えられています。
体長は30~60cmほどで、尾の長さは15~25cm。冬は黄色っぽい毛に覆われ、夏は黒褐色の毛に変わるため、季節によって姿が変わるのも特徴のひとつです。
テンの生態と生活習慣
テンは主に森林や河川沿いなどの自然が豊かな場所に生息しますが、食べ物を求めて人家の屋根裏や倉庫に住みつくこともあります。
特に夜行性で、昼間は樹木の穴や岩陰などで休み、夜になると活動を始めます。
食性と繁殖
テンは雑食性で、小型の哺乳類や昆虫、果実などを食べます。特に柿やミカン、ブドウなどの果物を好むため、農作物への被害が発生することもあります。
また、繁殖期は春頃で、4~5月に2~4匹の子どもを産みます。親は子育てをするため、安全な巣を探して屋根裏や納屋などに住みつくことがあるため、注意が必要です。
テンは可愛らしい見た目をしていますが、人の生活に影響を与えることもあるため、その生態を理解し、適切に対処することが大切です。
テンが引き起こす被害とは?
テンは見た目が愛らしい動物ですが、人間の生活に影響を及ぼすことがあります。
特に家屋への侵入や農作物の食害、病原菌の媒介など、さまざまな被害をもたらします。ここでは、具体的な被害について詳しく説明します。
家屋への被害
テンは屋根裏や倉庫、納屋などに侵入し、住み着くことがあります。一度住処として認識されると、長期間にわたって被害が続くことがあるため、注意が必要です。
糞尿による異臭や建物の損傷
テンは特定の場所に糞尿をする習性があります。
そのため、屋根裏や天井裏に糞尿が蓄積し、強烈な悪臭を放つことがあります。また、尿が木材に染み込むと、建物の腐食が進み、修繕が必要になることもあります。
配線をかじることによる火災リスク
テンは巣作りのために電気配線をかじることがあります。配線がショートすると、火花が発生し、火災の原因になることもあります。
特に古い住宅では配線の保護が不十分なことがあるため、早めに対策を講じることが重要です。
農作物への被害
テンは雑食性で、果物や小動物を好んで食べます。そのため、農作物や家禽(かきん)を狙うことがあり、農家にとって大きな問題となります。
果樹を食害する
テンは特に果物が好きで、柿、ミカン、ブドウなどを食べます。
食べかけの果実が木や地面に残されることが多く、一度狙われると継続的に被害が発生します。果樹園などでは、テンの侵入を防ぐための対策が必要です。
家禽(かきん)を襲う
テンはニワトリやウズラなどの小型の鳥を襲うことがあります。
特に夜間に行動するため、朝になって鶏が襲われていることに気づくケースも少なくありません。鶏小屋をしっかりとした構造にすることが、被害を防ぐポイントになります。
病原菌・寄生虫のリスク
テンは病原菌や寄生虫を媒介することがあり、人間の健康にも影響を与える可能性があります。
サルモネラ菌や寄生虫を媒介する
テンの糞にはサルモネラ菌が含まれていることがあり、触れると感染するリスクがあります。
また、ノミやダニを媒介することもあるため、屋根裏などに住み着いた場合、家の中に害虫が増える可能性もあります。
アレルギーや健康被害を引き起こす
テンの糞尿が乾燥し、ホコリとともに舞うことで、アレルギー症状を引き起こすことがあります。特に、喘息やアレルギー体質の人がいる家庭では、早めの対応が必要です。
テンは身近な環境に現れることがあるため、その生態を理解し、適切な対策を講じることが重要です。被害を防ぐための具体的な対策については、次の章で詳しく解説します。
テンの駆除は法律違反?適切な対処法とは

Wikipedia
テンが家屋や農作物に被害を及ぼしている場合、「駆除したい」と考える人もいるかもしれません。
しかし、テンは法律で保護されている動物であり、勝手に捕獲することはできません。ここでは、テンの駆除に関する法律と、正しい対処方法について詳しく解説します。
鳥獣保護法による規制
テンは、日本の鳥獣保護法によって保護されており、無許可での捕獲や殺処分は法律違反となります。違反すると罰則が科される可能性があるため、自己判断で駆除するのは避けましょう。
テンの捕獲には許可が必要
鳥獣保護法では、特定の条件下で自治体の許可を得た場合のみ、一部の捕獲が認められています。
例えば、テンによる被害が深刻である場合、自治体に申請を行い、許可を受けることで箱罠(はこわな)などを使った捕獲が可能になることがあります。
ツシマテンは天然記念物で捕獲禁止
対馬に生息するツシマテンは、天然記念物に指定されているため、捕獲は禁止されています。ツシマテンがいる地域で被害が発生した場合は、駆除ではなく予防策を徹底することが求められます。
許可を得て駆除する方法
テンの被害が深刻で、駆除が必要な場合は、正しい手順を踏んで対処しましょう。
自治体へ相談し、正式な手続きを踏む
テンを捕獲するには、まず自治体の担当窓口に相談することが大切です。
自治体によっては、申請手続きや捕獲許可の条件が異なるため、事前に確認しましょう。また、自治体によっては、特定の期間内のみ捕獲が許可される場合もあります。
専門業者に依頼するのが確実
テンの捕獲や駆除には専門知識が必要です。特に、箱罠の設置や捕獲後の対応を誤ると、違法行為になる可能性もあります。
そのため、害獣駆除の専門業者に依頼するのが最も安全で確実な方法です。業者によっては自治体と連携し、適切な手続きを踏んで対応してくれるところもあります。
また、自治体によっては、駆除費用の一部を補助してくれる場合があるため、費用負担を抑えながら対応できることもあります。
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ポイント
テンによる被害が発生した場合、勝手に駆除するのは違法です。
まずは自治体に相談し、正式な手続きを踏むことが重要です。また、専門業者に依頼することで、より安全かつ確実に対処できます。被害を未然に防ぐためにも、駆除だけでなく、予防策をしっかりと講じることが大切です。
自分でできる!テンを寄せつけない予防策
テンによる被害を防ぐためには、駆除よりも「そもそも寄せつけない」ことが重要です。
テンが住み着きにくい環境を作ることで、被害を未然に防ぐことができます。ここでは、自分でできる予防策について詳しく解説します。
侵入経路をふさぐ
テンは小さな隙間を見つけて家屋や納屋に入り込みます。屋根裏や倉庫に住み着くことが多いため、まずは侵入経路をふさぐことが大切です。
屋根裏や納屋の隙間を塞ぐ
テンは体が細長いため、5cmほどの小さな隙間があれば簡単に入り込んでしまいます。
屋根裏や納屋の壁に隙間がある場合は、金網や防獣ネットを設置して侵入を防ぎましょう。特に、古い建物は隙間ができやすいため、しっかりとチェックすることが大切です。
通気口・換気口・基礎部分の隙間にも注意
換気口や通気口の隙間も、テンが入り込む経路になりやすいです。
網目の細かいネットを張ることで、テンだけでなく他の害獣の侵入も防ぐことができます。また、床下の基礎部分に穴が開いていると、そこから屋根裏へ移動することもあるため、しっかりとふさいでおきましょう。
忌避剤を活用する
テンは嗅覚が優れており、特定の強い臭いを嫌います。これを利用して、忌避剤を使いテンが寄りつかない環境を作るのも効果的です。
テンが嫌う臭いを活用する
市販の忌避剤のほか、家庭にあるものでテンを遠ざけることもできます。例えば、以下のようなものが効果的です。
- 木酢液(もくさくえき):木を炭にする際に発生する液体で、独特の刺激臭があります。
- クレゾール石鹸液:病院や公共施設で使われる消毒液で、強い臭いが特徴です。
- 酢:酸っぱい刺激臭がテンを遠ざける効果を持ちます。
- 塩素系漂白剤:強い塩素臭がテンの嫌がる環境を作り出します。
これらを布や紙に染み込ませ、テンの侵入経路や被害のある場所に置くことで、テンを近寄らせにくくなります。ただし、雨などで効果が薄れることがあるため、定期的に交換することが必要です。
食べ物を放置しない
テンが人家の近くに現れる大きな理由のひとつが「食べ物」です。食べ物があると、テンはそれを目当てにやってきて、住み着く原因になります。
生ゴミを密閉し、食料を屋外に放置しない
テンは果物や食べ残しの食料を探して行動します。
そのため、ゴミ箱をしっかりと密閉し、食べ物の残りを屋外に放置しないことが大切です。特に、コンポストや生ゴミ置き場がある場合は、フタをしっかり閉め、テンが簡単に漁れないように対策しましょう。
鶏や家畜のエサを管理する
テンは鶏やウズラを襲うこともありますが、それだけでなくエサにも興味を持ちます。
ペットのエサや鶏の飼料を屋外に置いたままにすると、テンがそれを狙ってくることがあります。食べ物を外に出しっぱなしにしないよう注意しましょう。
音や光で撃退する
テンは警戒心が強く、不規則な光や音を嫌う習性があります。これを利用して、テンが安心できない環境を作ることで、近づきにくくすることができます。
超音波装置を使う
市販の超音波害獣撃退装置は、テンにも効果があります。超音波は人間には聞こえませんが、テンには不快な音として感じられるため、テンの活動を抑制できます。屋根裏や被害が発生している場所に設置すると効果的です。
LEDライトや強い光を当てる
テンは夜行性のため、明るい場所を嫌います。LEDライトを設置したり、点滅するセンサーライトを活用すると、テンが近寄りにくくなります。特に、テンが頻繁に出入りしている場所に設置すると、効果が期待できます。
ポイント
テンの被害を防ぐためには、捕獲や駆除よりも、まずは寄せつけない環境を作ることが大切です。
- 屋根裏や納屋の隙間をふさぎ、侵入経路を遮断する
- 忌避剤を使って、テンの嫌がる環境を作る
- 食べ物を外に放置せず、ゴミやエサを適切に管理する
- 超音波装置や光を使って、テンが近づきにくい環境を整える
これらの対策を組み合わせることで、テンが寄りつかなくなり、被害を未然に防ぐことができます。もしテンの被害が深刻な場合は、自治体や専門業者に相談し、適切な対応を検討しましょう。
まとめ
テンは、見た目の可愛らしさとは裏腹に、屋根裏や納屋に住み着き、糞尿による悪臭や建物の損傷を引き起こすことがあります。
また、農作物を荒らしたり、鶏を襲ったりすることもあり、農家にとっても大きな問題です。
しかし、テンは鳥獣保護法によって守られているため、無許可で捕獲することは法律違反となります。駆除を考える場合は、必ず自治体へ相談し、正式な手続きを踏むことが必要です。
最も効果的な対策は、侵入を防ぐことです。屋根裏や倉庫の隙間をふさぎ、テンの嫌がる臭いを利用することで、被害を未然に防ぐことができます。
また、食べ物を放置しないことや、光や音を利用してテンを遠ざけることも有効です。
もし被害が拡大している場合は、専門の駆除業者に相談するのも良い方法です。早めの対策を講じることで、家や農作物を守ることができます。
最後に.
こんにちは、福岡県の害獣害虫駆除業者で株式会社あい営繕 代表の岩永と申します。 私はしろあり防除施工士・蟻害・腐朽検査士の資格があり、害獣駆除業界でかれこれ40年位います。弊社は公益社団法人日本しろあり対策協会、公益社団法人日本ペストコントロール協会に籍を置き業界の技術力向上やコンプライアンスの徹底にこだわり仕事しています。もし害獣害虫駆除でお困りのことがありしたら、些細なことでも構いません。お電話頂ければ誠心誠意お答えいたします。この記事があなた様のお役に立ちましたら幸いです。
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最後までお読みいただきましてありがとうございました。