「天井裏(屋根裏)でドタバタ音がする…」「何かの動物が侵入した形跡がある…」。これらはもしかしたら野生動物のイタチによる仕業かもしれません。実は、近年イタチによる被害で悩む家庭が都市部でも増えています。
見た目は小柄で可愛らしいイタチですが、住宅内に侵入するイタチは私たち人間にさまざまな被害をもたらします。今回はイタチによる被害例や、イタチ被害を防ぐためにできる対策法などをまとめましたので解説します。
イタチによる被害とはどんなもの?
イタチは近年、都市部に住宅を構える家庭にも被害をもたらしています。
しかし、具体的にイタチによる被害とはどのようなものなのでしょうか?ここではイタチがもたらす被害を5つまとめましたのでご紹介します。
排泄物による悪臭や汚染
イタチは天井裏や床下に住み着き、活動していることが多いですが、そこで糞や尿を排泄します。
イタチの糞は、他の害獣と比べても非常に強いニオイを放っています。
イタチの食性は雑食であり、柿などの果実、カエルやカマキリといった両生類や昆虫、ネズミやウサギなどの哺乳類までありとあらゆるものを補食します。
このようにイタチは肉食傾向が強い雑食性ですので、非常に臭い糞を排泄します。
ちなみにイタチの糞は水分が含まれており、細長い形をしているのが一般的です。
イタチは同じ場所に糞尿をするという性質があるため、屋根裏に住み着かれた場合は大量の排泄物が確認されることが多いです。
この大量の排泄物の影響で部屋にまで悪臭が入ってきたり、天井裏(屋根裏)がひどく汚染されていきます。その他、イタチの肛門には※臭腺と呼ばれる器官があり、マーキング時や外敵に襲われたときなどにも強烈な悪臭を放ちます。
※臭腺(しゅうせん)とは、動物の強いにおいのある液を分泌する線をいう。
【参考】ことバンクより引用
天井裏を走り回るなどの騒音
イタチは保温性の高い屋根裏などに住み着く性質があります。
さらにイタチは日中に活動することもありますが、基本的には夜行性ですので夜中に活発に動くことが多いです。
そのため、夜になると天井裏を走り回る音が部屋にまで伝わってきます。
これによって夜間の睡眠を妨害するといった被害をもたらします。
人に被害をもたらす主なイタチは、在来種の二ホンイタチと外来種のチョウセンイタチです。
二ホンイタチとチョウセンイタチでは体長、体重が異なりますが、体の小さい二ホンイタチでも体長20㎝~37㎝、体重100g~650gほどあります。
500mlのペットボトル(重さはほぼ500g)を床に落とすと「ドタ」「ドタン」といった音がしますので、同じ重さのイタチが天井裏を走り回ると「ドタドタ」という音が響き渡ります。
体重が異なるネズミとは足音が異なりますので、イタチによる被害か否かは判別しやすいでしょう(※イタチではなくハクビシンやアライグマの仕業ということもあります)。
農作物などを食い荒らす食害
イタチは雑食性の動物ですから、農家の方が育てた野菜や果物などを食い荒らしてしまうことがあります。
またイタチは小柄な体格ですが性格は非常に凶暴であり、動物性のエサを好みます。
ネズミや鳥類など、自分より小さな動物を食すのはもちろんですが、ニワトリやウサギなど自分より大きな動物を捕食する例も報告されています。
特にニワトリは家畜として飼育している方も少なくありませんので、小屋に放していたニワトリが被害を受けるというケースもあります。
また、イタチが室内に侵入してきた場合はペットとして飼っているネコやウサギなども被害に遭う可能性があります。
断熱材などの破損
一般的な住宅では、天井裏からの熱が室内に伝わらないように断熱材を設置しています。この断熱材ですが、実はイタチが巣をつくるために破いたり、穴をあけたりします。
また前述のようにイタチは同じ場所に排泄物を撒き散らすため、天井板にシミができたり、最悪の場合は板が腐ってしまうこともあります。
寄生虫によるアレルギー
イタチのみに限らず、野性で暮らしている動物にはダニやノミが寄生しています。またイタチは縄張り意識が強い動物のため、一度住み着いた天井裏などに糞や尿でマーキングをします。
このような不衛生な環境もダニやノミの増殖につながっていきます。さらにイタチは食料となるネズミなどを捕らえたあと、安心して食事ができるように、自分の巣へ持ち帰る習性があります。
これら捕獲された動物にもダニやノミが寄生しているため、イタチが住み着く住宅(屋根裏)は人に健康被害をもたらす可能性が高くなります。
特に小さな子どもがいる家庭では注意しておきたい被害例でもあります。
イタチによる被害を防ぐためにできる4つの対策法
前述のように住宅に侵入したイタチは、人にさまざまな被害をもたらします。
そのため、イタチが住み着いていることを確認したら、適切な対策を施す必要があります。
ここではイタチによる被害を防ぐためにできる対策法を4つご紹介します。
強いニオイを発するものを設置して追い出す
イタチは非常に嗅覚が発達した動物です。この優れた嗅覚を利用して、イタチを追い出す方法があります。
具体的にはイタチが嫌がるニオイの散布、設置などが挙げられます。イタチが特に嫌がるとされているニオイには、以下のようなものがあります。
- お酢のニオイ
- 漂白剤(カルキ)のニオイ
- 燻製のニオイ
- 石鹸のニオイ
これらをイタチが巣をつくっていそうな場所に設置、散布することで、イタチが寄り付かなくなる可能性が高くなります。
また、ホームセンターなどにもイタチが嫌がる動物忌避剤といった製品が販売されていますので、ニオイを使って対策を行いたい方は参考にしてください。
強い光を当てる
イタチは人や天敵が寝静まったあとに活動を始める夜行性の動物です。この性質を利用した駆除方法が、強い光を浴びせるということです。
光を浴びせることで、イタチは人や天敵に見つかったと感じて逃げてしまいます。
仮にイタチを見かけたら、その場で光を浴びせる方法も有効です。しかし、このような対策法では人の目が届かない箇所からの侵入を許してしまう可能性が高いです。
そのため、24時間365日体制でイタチの侵入を防ぐには、侵入口になりそうな箇所に光を発するものを設置しておくのが有効です。
最も簡単にできるのは自宅にある不要になったCDなどをぶら下げておくことです。こうすることでCDは光を反射し続けますから、一時的ならイタチの侵入を防ぐことができます。
また、イタチなどの気配を感じると、センサーが反応して光を発するものなどイタチ撃退グッズを活用するのもおすすめです。ちなみにクリスマス用のイルミネーションなども、イタチ対策には一定の効果を見込めます。
イタチを捕獲する
イタチ対策にはニオイや光など複数の方法がありますが、イタチもすぐに慣れてしまう可能性があります。そのため、最も効果的な対策としては、やはりイタチを捕獲してしまうことです。
イタチを捕獲するときは箱罠を用いるのが一般的です。箱罠にイタチが好むお肉や魚を入れておき、イタチの侵入口付近などに設置することで、捕獲することができます。
イタチは1度の出産で1匹~10匹(平均3匹~5匹)ほどの子どもを産むといわれています。そのため、1匹捕獲しても屋根裏で繁殖している可能性がありますので、捕獲は継続的に行っていきましょう。
ただしイタチを捕獲する上で注意しておきたいのが、鳥獣保護管理法で定められた事項です。イタチは鳥獣保護管理法によって捕獲(駆除)できる時期、区域などが定められています。
また、イタチ対策で捕獲できるのはオスのイタチのみであり、メスのイタチは狩猟期間であっても捕獲することは不可能です。イタチを捕獲できる狩猟期間は以下のとおりとなります。
北海道以外の地域 |
毎年11月15日~翌年2月15日まで (猟区内 毎年10月15日~翌年3月15日まで) |
北海道 |
毎年10月1日~翌年1月31日まで (猟区内 毎年9月15日~翌年2月末まで) |
【参考】環境省「狩猟制度の概要」
地域によってイタチ捕獲に対する対応が異なる可能性もあるため、詳細はお住まいの自治体の担当課に確認するようにしましょう。
イタチの侵入口を塞ぐ
室内に住み着くイタチの捕獲、駆除に成功したら、再侵入を防ぐために侵入口になりそうな箇所はすべて塞ぐようにしましょう。
イタチは私たち人間が想像もしないところから侵入してきます。具体的には軒先に近い樹木や雨樋などです。
また縁の下、床下、瓦の隙間などもイタチの侵入口となります。
イタチは3㎝以上の隙間があれば、室内に侵入可能ともいわれています。イタチが侵入した箇所には、足跡や毛が残されていることもあります。
これらはイタチ侵入口のサインにもなりますので、気になる箇所はすべてチェックしておきましょう。
イタチの侵入箇所となりそうな隙間は目の細かい金属製のネット、網、防鼠ブラシなどで埋めていきます。
イタチによる二次被害が発生しないうちに早めの対策を
イタチが住宅内に侵入した形跡を見つけたら、早めの対策を心がけておくようにしましょう。と、いうのもイタチの被害は思わぬ二次被害を招くこともあるからです。
たとえばですが夜中に屋根裏を走り回る音が連日続くと、睡眠の妨げになり不眠症やうつ病を発症する可能性もゼロではありません。
またイタチが巣をつくる目的で断熱材を破損させると、これらの交換、修理費用もかかります(屋根裏は断熱材施工が最も費用がかかるといわれています)。
その他、イタチによって持ち込まれたダニやノミは、アレルギー性の皮膚炎や気管支喘息の原因にもなります。
住宅内で少しでもイタチの気配を感じたら、早急に適切な対策を施すようにしましょう。
イタチ駆除に不安がある方は、専門家へ相談することもおすすめします。
まとめ
近年の住宅はサッシや断熱材、エアコンや床暖房などによって保温性が保たれています。そのため、冬の季節になるとイタチなどの害獣がありとあらゆる隙間から侵入してきます。
イタチは一度住み着いた場所には大量の排泄物を撒き散らし、住宅内の素材を劣化させていきます。
このような弊害が長期的に続くと、人の健康にも害を及ぼす二次被害をもたらします。
そのため、現在屋根裏などにイタチの気配を感じるという方は、早いうちに適切な方法でイタチ対策に乗り出すようにしましょう。